受益者について
受益者とは、信託財産から生じた利益を受ける人の事です。受益者には相続人以外もなることが可能です。また、利益を受ける権利を受益権といいます。
例えば、信託財産が賃貸物件などの収益不動産の場合、毎月賃貸収入があります。この賃貸収入を受益者が受け取ることになるため、この賃貸物件の実質の所有者は受益者ということができます。
また、受益者は、管理をしている受託者がしっかり業務を遂行しているのかを監督(チェック)することができます。管理ができていないことで不利益を被るのは受益者だからです。そのため、受益者自身が高齢の方だったり未成年者である場合には、チェックを代わりに行う代理人(受益者代理人)を信託契約の中で定めることも可能です。
受益者に関する様々なルールや注意点
信託契約は1年で終了する
信託法の中で、信託契約は1年で終了するというルールがあります。ただしこのルールが適用されるには条件があり、「受託者=受益者」(受託者と受益者が同一)の場合のみです。管理する人と利益を受ける人が同一である、ということは、単に委託者が受益者に不動産をあげたことと実質同じになるため、信託を利用している意味がなくなってしまいます。そのため、意味を成さない信託契約はなくして良いですよね、という趣旨から、1年という期間を定めて終了することになります。
なお、まったく同一であることが条件ですので、例えば、受託者Aで受益者ABという場合には、このルールの適用はありません。
受益者が亡くなった場合と受益者連続型信託
では、利益を受ける受益者が亡くなった場合はどうなるのか。
これについても信託契約の中で意向に沿ってあらかじめ定めておくことができます。例えば、信託契約中で ”第一受益者” ”第二受益者” ”第三受益者” をそれぞれ誰にするかを決めておきます。そうすると、第一受益者Aが亡くなった場合、自動的に利益を受ける人が第二受益者であるBへと引き継がれます。同様に第二受益者Bが亡くなった場合には第三受益者Cへ引き継がれていきます。受益者=実質の財産の所有者、ともいうことができ、遺言書に代わるものとして利用されるケースが多くあります。財産を所有している方が何世代先のことも自身の意向を反映できることがこれまでの遺言書では不可能だった部分であり、家族信託を利用するメリットであるといえます。
※通常では、相続での不動産の所有権移転の場合、不動産の固定資産評価額の0.4%が登録免許税となります(不動産評価額が3000万円の場合は登録免許税12万円)。一方で、上記のような信託契約の中で受益権を移転することによって実質の所有者を変更する場合には、1件あたり1,000円と非常に安い金額となり、節税の面からも家族信託を検討されることがあります。
贈与税の対象
民事信託契約を締結することで、贈与税の課税対象になる場合がありますので注意が必要です。「受益者=実質の所有者」という考え方に基づき、受益者が誰かによって異なります。
- 委託者&受益者A、受託者Bの場合(財産の所有者と利益を受ける人が同一)
Aさんは自分の財産を信託して利益を自分で受け取るので非課税となります。管理だけをBにお願いしている、という状態ですので、A自身のものであることには変わりありません。このような委託者と受益者が同じ場合を自益信託と言います。
- 委託者A、受託者B、受益者Cの場合(財産の所有者と利益を受ける人が異なる)
CさんはAの財産から利益を受けることになり、実質財産をもらったことと同等とみなされることとなります。つまり、AさんはCさんへ財産をあげたとみなされ、税務上は贈与の扱いとなります。
従って、年間110万円を超える利益があった場合には贈与税の対象となりますので注意が必要です。このような委託者と受益者が異なる場合を他益信託と言います。
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